新人時代に教えられた「贔屓」という名の優しさ
この仕事を始めたばかりの頃、技術もまだ未熟だった私を、いつも指名してくださるお客様がいました。
明らかに力不足だった私を、それでも選び続けてくださる。その気持ちに応えたくて、タオルの質はもちろん、洗剤や乾かし方まで気を配り、新しい技術の習得にも励みました。少しずつですが、確実に上達していたと思います。
お客様からは、いつもお土産をいただくようになりました。私もお客様の好みを覚えて、お返しを用意するようになりました。
ただ、そのやり取りは、少しずつ規模が大きくなっていきました。お菓子やお茶だったものが、いつしか電化製品になり、最後には目を疑うような高価な品をいただいたこともあります。
当時の私は、それをある種の「ステータス」のように感じていた部分もあったと思います。
それだけ自分がお客様に必要とされている、という証のように。
それは本当に「お客様のため」だったのか
今、改めて振り返ると、ふと思うのです。
あれは本当に、お客様への配慮だったのだろうか、と。
もしかしたら、喜んでいる私の姿を見て、お客様も喜んでくださっていたのかもしれません。それ自体は、ひとつの温かい関係のかたちだったのかもしれない。でも、それは「お客様のことを考える」ことと、同じ意味を持つのだろうか——そう自問するようになりました。
本当の意味でお客様のことを考えるとは、どういうことなのか。ホスピタリティの定義とは何なのか。この問いは、今も私の中に残り続けています。
提携先の高級ホテルで見えた、もうひとつの気づき
札幌では新規ホテルの建設ラッシュですが、あるホテルと出張マッサージのご縁をいただき、やり取りはすべてホテルのスタッフを通して行っています。
それだけの規模のホテルのスタッフですから、当然、高いコミュニケーション能力やホスピタリティを備えているのだろうと、勝手にイメージしていました。
ですが実際には、そうとも限らないのだと知りました。確認すべきことが確認されていなかったり、時間の変更があってもお客様へ連絡が行き届いていなかったり——正直、こちらが心配になる場面も少なくありません。
唯一、素晴らしいと感じるのは、言葉遣いや立ち居振る舞いといった「表面上の対応」です。文章でも、会話でも、その丁寧さは見事なものです。ただ、それだけに、どこか薄っぺらさを感じてしまう自分もいます。
「利他」を問い続けることが、RITA SPAの土台
ホスピタリティとは何か。利他とは何か。
この問いに、簡単な答えはないのだと思います。だからこそ、札幌でこの仕事を続ける中で、これからも問い続けていきたい。それが、RITA SPAという店の姿勢そのものだと感じています。
出張マッサージという、お客様のプライベートな時間とご自宅やお部屋にお伺いする仕事だからこそ、表面的な丁寧さだけでは足りない場面がきっとあります。技術や言葉遣いの先にある、本当の意味での「お客様を思う気持ち」を、これからも大切にしていきたいと思います。
