まだまだ「出張専門のマッサージセラピスト」という職業説明をすると
一体どんな仕事なの?危険はないの?怪しい仕事なの?等々、同業のセラピストであっても
その存在を知らず、聞かれる事があります。
店舗型のマッサージ店と違い、そういうサービスが存在することを知らない人も少なくありません。
都心ではもうかなり前から、札幌でも恐らく20年は始まっている出張型のマッサージ。
昨今様々なマッサージ形態が生まれている中で、素朴で中でも影の薄い存在です。
でも、それで良いかも知れません。我々はそもそも御客様のオフ時間にリラックスを提供するので
非現実的な存在であることが、正しいのかも知れません。
御陰様でRITA SPAの御客様は、かつて在籍しているどのお店よりも
スタッフ、御客様の良識や品格が高いことを感じております。
セラピストは年間で数百人近い御客様とのご縁があり、中にセラピスト側が感銘を受ける
御客様がいらっしゃるものです。
今日はそんな御客様の1人のお話をさせて頂きます。
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Tさんは研修が終わりデビュー直後に、御縁があり担当した60代後半の男性です。
たまたま通院で来札し、普段はマッサージをほぼ受けたことはなかったそうですが
お辛かったのか、その日はマッサージを呼ぼうと思ったそうです。
研修合格はしていても、現場ではまだまだ不慣れで未熟であった私でしたが
Tさんは「とても楽になった、本当に有難う」と言ってくれました。
それから、月に一回来札時には必ず予約を入れてくれるようになりました。
何度も担当し、コミュニケーションを取るうちに
私は少しでもTさんの為になることができないか、と考えるようになりました。
施術用タオルを高級なものに自腹で買替、ふわふわで心地よい肌触りになるように
洗濯方法を何度も変え試しました。
自分の手や爪のケアをしっかり行い、自分が出来る施術を最大限に行えるよう管理しました。
会話の中から好きな物や好きな事をメモし、次回の接客に繋げたり
好きそうな物を見つけたら購入し、手土産をお渡ししたりしました。
毎回不調な箇所を少しでも緩和できればと、先輩セラピストに技術を分けて貰いました。
そんなこんなで気が付けば5年近く、担当させて頂きました。
そしてぽっちゃりしていたTさんは減量、健康的で若々しくなり
20年前に来てたスーツを着てきて、披露してくれたのをとても覚えています。
Tさんに減量を勧めたことはありません。
またTさんも私に技術の向上や仕事にクレームをされた事はありません。
恐らくですが、互いにきっかけを与え勝手に変化をしていきました。
未だにTさんの居住地も、職業も知りません。
そのような事を知らなくても、この仕事を本気でやろうと思う大きなきっかけを頂きました。
ベテランとなった今でも、この仕事は決して保持している資格や勤務年数だけではない
ことを教えてくれた、忘れられない御客様です。
今もどこかでお元気に過ごされていますでしょうか?
またどこかで会えたら、とっても嬉しいです。感謝。